シリーズを振り出しに戻す「逆王手」
| 項目 | 詳細 |
| 試合日 | 2025年10月31日(現地時間) |
| 対戦カード | ワールドシリーズ 第6戦 |
| 場所 | ロジャース・センター(トロント) |
| 結果 | ロサンゼルス・ドジャース 3 – 1 トロント・ブルージェイズ |
| 勝敗 | ドジャースの勝利(対戦成績 3勝3敗) |
| 勝利投手 | 山本 由伸(ドジャース) |
| 敗戦投手 | ケビン・ガウスマン(ブルージェイズ) |
| セーブ | タイラー・グラスノー(ドジャース) |
ワールドシリーズの舞台はトロントへ移り、通算2勝3敗と崖っぷちに立たされたロサンゼルス・ドジャースは、エースの山本由伸投手をマウンドに送る「負けたら終わり」の第6戦に臨みました。
ドジャースは3回表に一挙3点を奪い主導権を握ると、山本投手が6回1失点とエースの役割を完璧に遂行。終盤には救援陣がヒヤリとする場面を迎えながらも、ブルージェイズの反撃を振り切り、3対1で勝利しました。この勝利により、シリーズは3勝3敗のタイとなり、運命の最終第7戦へと突入します。
この試合で最も際立ったのは、山本投手の類稀なる集中力と、チーム打線が要所で奪った勝負強い得点力でした。
衝撃を力に変えた「鋼のメンタル」:山本由伸のエースの投球
ドジャースのシーズンを背負った山本由伸投手は、このプレッシャーのかかる一戦で、自身のポストシーズン(PS)通算勝利数を日本選手単独最多となる6勝目に更新する、圧巻の投球を披露しました。
山本由伸投手の登板成績
| 項目 | 記録 |
| 投球回 | 6.0イニング |
| 被安打 | 5 |
| 失点/自責点 | 1 / 1 |
| 与四球/奪三振 | 1 / 6 |
| 球数 | 96球 |
支配的な投球で畏怖される山本
山本由伸投手は、ワールドシリーズ第2戦で完投勝利を収めた自信を胸に、序盤からブルージェイズ打線を圧倒しました。
山本投手のこの日の投球で、特に注目すべきは、ブルージェイズが対策を練ってきたはずの**スプリット(フォークボール)**の支配力でした。相手先発のケビン・ガウスマン投手もスプリットを多用する投手である中、山本投手はブルージェイズ打者に対してスプリットで空振りを奪い続け、三振の山を築きました。
唯一の失点は3回裏、二死三塁の場面で、ジョージ・スプリンガー選手に低めのカッターをレフト前に運ばれたタイムリーヒットによるものでしたが、続く4回、5回、そして6回は圧巻のピッチングで相手打線を封じ込めました。
MLBは先日の呪怨パロディから山本投手は相手にとって恐怖の象徴のようなネタになっているようです。
ほかにもカメラに気づいていきなりこちらを振り向くホラー映画の場面のようなポストもしています。
6回裏の「動じない心」:観客乱入事件
ドジャースが3-1とリードして迎えた6回裏、一死の場面でまさかの出来事が起こります。山本投手が次の打者に向かうため投球モーションに入ろうとした瞬間、レフト方向から一人の観客がグラウンドに乱入したのです。
観客はアメリカ国旗を掲げながらレフト付近を走り回るという危険な行為に及び、山本投手は投球を中断し、後ろを振り返って異変に気付きました。場内は騒然とし、ホームのカナダのファンからは乱入者に対して激しいブーイングが浴びせられました。
試合は短時間の中断後、すぐに再開されましたが、この集中力が途切れてもおかしくない状況で、山本投手が示した**「鋼のメンタル」**は驚異的でした。
再開後、山本投手はゲレーロ・ジュニア選手に二塁打、ボー・ビシェット選手に四球を与え、二死一、二塁と一打同点のピンチを招きます。しかし、ここで迎えたドールトン・バーショ選手に対して、伝家の宝刀スプリットを低めに投じ、渾身の空振り三振を奪って窮地を脱しました。
このアクシデント直後の大ピンチで、一切動じることなくアウトを取ることに集中した山本投手の姿は、ドジャースのエースとしての風格と、大舞台での強靭な精神力を世界に見せつける形となりました。
試合後インタビューでは次の試合について「行けと言われればいきます。できれば応援を頑張りたい」と語っています。
大谷翔平:「ビッグイニング」の火付け役となった勝負の一打
前日の試合では快音なく、打撃で貢献できなかった大谷翔平選手でしたが、この第6戦ではドジャースのビッグイニングを呼び込む重要な役割を果たしました。
大谷翔平選手の打席成績
| 打席 | 打数 | 安打 | 二塁打 | 本塁打 | 打点 | 四球 | 三振 |
| 合計 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 |
3回表:先制点につながる弾丸ライナーの二塁打
試合が動いたのは3回表。ドジャースは得点圏にランナーを進められないまま、重苦しい空気が流れていました。ここで先頭打者として打席に立ったのが大谷選手でした。
大谷選手は、相手エースのガウスマン投手が投げた低めのスプリットに対し、体勢を崩されかけながらもバットの芯で捉えます。打球は瞬く間にレフトとセンターの間の深いところを鋭く破る二塁打となり、一気に無死二塁のチャンスを演出しました。
この二塁打は、ドジャース打線に火をつける起爆剤となります。続くウィル・スミス選手がレフト線へタイムリー二塁打を放ち、大谷選手が生還してドジャースが待望の先制点を挙げました。打球速度や飛距離のデータは確認できませんが、そのスピードと打球の伸びは、大谷選手特有の”打球をねじ込む”技術が光る一打でした。
申告敬遠:避けられ続けた勝負
大谷選手は、3回に二塁打を放った後、6回表の打席では二死一塁から申告敬遠(インテンショナル・ウォーク)で歩かされました。ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督は、大谷選手との勝負を徹底的に避け、後続のフリーマン選手との対決を選択。この采配からも、大谷選手が打席に立つことによる相手チームへのプレッシャーの大きさが如実に表れていました。
大谷選手自身はこの日、打席では1三振を喫し、4打席中2度の出塁に留まりましたが、先制点につながる二塁打で、勝利に不可欠な「仕事」を完遂しました。
試合全体の流れ:ベッツの勝負強さと最終回のドラマ
ドジャースがこの大一番で勝利を掴み取れたのは、山本投手の快投に加え、中軸がチャンスを確実にモノにした集中打、そして最終回の痺れるような継投と守備の勝利に尽きます。
試合の流れを決定づけた「ビッグイニング」
| チーム | イニング | プレー |
| ドジャース | 3回表 | 大谷翔平が二塁打で出塁し、ウィル・スミスの二塁打で先制。さらに、ムーキー・ベッツの満塁からの2点タイムリーヒットで一挙3点を奪う。 |
| ブルージェイズ | 3回裏 | ジョージ・スプリンガーのタイムリーヒットで1点を返すも、山本由伸の好投で反撃を断たれる。 |
| ドジャース | 7回表 | 走者を進めるも、テオスカー・ヘルナンデスが三振に倒れ追加点を奪えず。 |
| ドジャース | 9回裏 | 無死二、三塁の絶体絶命のピンチで、タイラー・グラスノーがリリーフし、サヨナラ併殺で試合を締める。 |
3回表:スミスの先制にムーキー・ベッツが覚醒した一打
山本投手が2回まで無失点でしのいだ後、3回表にドジャース打線が爆発します。
先頭の大谷選手が二塁打で出塁すると、続くスミス選手がレフト線へ痛烈な二塁打を放ち、まず1点(打点1)を先制。さらに、フリーマン選手が四球を選び、満塁のチャンスが生まれます。
ここで打席に立ったのが、このシリーズで打撃が低迷していたムーキー・ベッツ選手でした。ベッツ選手はガウスマン投手の投球を捉え、センター前に鋭い2点タイムリーヒットを放ち、リードを3-0に広げました(打点2)。この一打は、ベッツ選手自身の不調を払拭し、シリーズの流れを再びドジャースに引き寄せる「価値ある一打」となりました。
9回裏:グラスノーが演出した劇的な終焉
山本投手が6回でマウンドを降りた後、ドジャースはジャスティン・ロブレスキー投手、そして佐々木朗希投手へと繋ぎます。
佐々木投手は8回を無失点で切り抜けましたが、9回裏、一発出れば同点という緊迫した状況で、先頭の2人に連打を許し、無死二、三塁のピンチを迎えてマウンドを降ります。
デーブ・ロバーツ監督は、ここでクローザーのタイラー・グラスノー投手を投入。この日投げる予定ではなかったエース格の投手を投入するという、まさに「全員野球」の采配でした。
ブルージェイズは代打を送るも、グラスノー投手は1人目を三振に仕留めて一死。続く打者、マット・チャップマン選手は、グラスノー投手の速球を打ち返しますが、打球は力のないセカンドゴロに。二塁手のミゲル・ロハス選手は捕球後、素早く本塁へ送球して三塁走者をアウト(二死)。さらに、一塁へ転送して打者走者もアウトにするという劇的なサヨナラダブルプレーが完成しました。
この瞬間、ドジャースはブルージェイズの猛追を振り切り、3-1で勝利。ロジャース・センターは静寂に包まれ、ドジャースベンチとファンは歓喜に沸きました。このサヨナラ併殺は、ドジャースが「絶対に負けられない」という気迫で掴んだ、守備の勝利を象徴するプレーでした。
まとめ:優勝決定戦への展望
崖っぷちの状況下で、山本由伸投手の鋼のメンタルと、大谷翔平選手を起点とした打線の爆発、そして最終回の劇的な守備の勝利により、ドジャースはワールドシリーズを第7戦に持ち込みました。
特に、観客乱入という稀に見るアクシデント直後にも、冷静さを保ち大ピンチを乗り越えた山本投手の姿は、メジャーリーグの歴史に残る名場面として語り継がれるでしょう。
この激闘の勢いを胸に、ドジャースは翌日の最終決戦、ワールドシリーズ第7戦へと挑みます。
試合後インタビューでは明日の試合について「やるかどうかの勝負。すべてを出し切るつもりだ」と言い、中三日の大谷も間違いなく候補の一人と語っているので投手大谷の出番の可能性を示唆しています。
「野球は筋書きのないドラマ」と言いますが、このシリーズはまさにその言葉を体現しています。


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